方言?標準語?

 県外に進出するようになってから、全国区の言葉だと思っていたものが実は方言で、他では使わない/通じない、ということに、頻繁ではないが、出くわす。
 
 今回の温泉旅行中でも、また新たにそんな言葉に出会ってしまった。それは、「始末する」である。

 普通、「始末する」というと、あるもの(人も含む)を「処分する」とか「捨てる」いうイメージを描く人が多いらしい。しかし、私は、もう1つの意味での方がよく使う。

 用例としては、「今日もう始末しとこか〜。」「今月始末しやななぁ。」など。

 その場にいた同期女子9人の間で、出身別に統計すると、もう1つの意味で使うのは、徳島と和歌山だけで、大阪・神戸出身者にも通じず、関西圏全般で使われているものでもないらしいことが分かった。

 さて、肝心の意味の方だが、「始末する」=「節約する」のことを示す。よって、上記の例では、「今日はもう節約してお金使わないでおこうか。」「今月節約しないと。」の意味になる。

 
 ここまではまだ仲間がいたので「言うよね〜。」と分かり合えたのだが、次の言葉を発した瞬間、誰とも分かり合えない孤独な身分に成り下がってしまった。。

 私:「うんうん、始末する、言うよねぇ。"始末家"とか言うやん。」
 皆:「・・・。え?何それ?スナイパー??」

 ちがうって!始末する人なんだから、節約家の意味だって!「あの子、始末家やなぁ。」って普通に言うもの。
 「始末する」は使っても、「始末家」は使わないのは不思議な話だ。。
 
 気になったので、いつもの如く調べてみると、「始末 節約」でかなりヒットした。その中の「上方落語特選」に「始末の極意」という落語があった。と、いうことはやっぱり、出所は関西なんだ。同じように「始末家」で検索しても、数は少ないがヒットはした。例としてヒットした落語を。


「隣の桜」より

そぉそぉ、丁稚は使われて大きなりますのん、お金は使こたら減りますのん。旦さん始末家やさかい、使こたら減るお金ちょとも使わんと丁稚ばっかり使いやがる。


いや、出所は関西だ、と言ったが違うかも。普通に辞書を引くと載っていた。


しまつ 1 【始末】

(名)スル
(1)(物事の)しめくくりを付けること。片付けること。処理。
「―を付ける」「このごたごたをどう―するつもりだ」

(2)無駄遣いしないこと。倹約すること。
「なんでも―して使う人」「藤屋の市兵衛が申事を尤と思はば、―をすべし/浮世草子・一代男 7」

(略)

と、いうことは、「始末する」は方言じゃなくて標準語なのかも。
この事実、もしかしたら、逆に方言だと指摘されたもので標準語のものもあるかも・・・と希望が湧いてきた。