おいでおいで

 川が細くなっていて、一歩向こうは北朝鮮のところがある、と聞いていたので、まずは虎山長城の入り口に行く前にその北朝鮮と小川を挟んで国境になっている場所に連れて行ってもらうことにした。看板など特にないので、普通では絶対分からない。トウモロコシが生えている小道に車を置き、向かいの建物で正規ではなさそうな入場料を払い、運転手さんも一緒に川まで降りていく。途中果樹園があり、運転手さんが梨を人数分取ってきてくれる。

 川に着くとびっくり。川の向こうのフェンスがあり、その後ろに北朝鮮のトウモロコシ畑が広がっている。50mも離れていない。でも、国境はフェンスではなく、川の真ん中なので本当にピョンピョンと川を越えればそこは北朝鮮。近い、近すぎる。

 と、フェンスの向こうに農作業している北朝鮮人が見えた。若そうな男の人2人で、私たちに向かって「バーリーバーリー!(おいでおいで!)」とハングル語で手を振ってくる。え〜こんな近距離で、しかも「おいでおいで!」って叫んでいるよ〜。手は振り返せてもさすがに向こうまでは行けませんよ…。ひぇ〜かなり衝撃的。

 川岸に小屋が1つあって、どういう時に行われるのか分からないが物々交換をする時に使われているらしい。小屋の中には北朝鮮のお酒やタバコ、お金があって、運転手さんは自分の家のように中に入り見せてくれた。梨と言い、小屋の中と言い、お金を払って入ったとはいえ、こんなに好き勝手して良いのだろうか…と少し思ったけど、次に行く虎山長城のチケット代を交渉してくれようとしたり、とにかく良い人だった。