おいでおいで
川が細くなっていて、一歩向こうは北朝鮮のところがある、と聞いていたので、まずは虎山長城の入り口に行く前にその北朝鮮と小川を挟んで国境になっている場所に連れて行ってもらうことにした。看板など特にないので、普通では絶対分からない。トウモロコシが生えている小道に車を置き、向かいの建物で正規ではなさそうな入場料を払い、運転手さんも一緒に川まで降りていく。途中果樹園があり、運転手さんが梨を人数分取ってきてくれる。
川に着くとびっくり。川の向こうのフェンスがあり、その後ろに北朝鮮のトウモロコシ畑が広がっている。50mも離れていない。でも、国境はフェンスではなく、川の真ん中なので本当にピョンピョンと川を越えればそこは北朝鮮。近い、近すぎる。
と、フェンスの向こうに農作業している北朝鮮人が見えた。若そうな男の人2人で、私たちに向かって「バーリーバーリー!(おいでおいで!)」とハングル語で手を振ってくる。え〜こんな近距離で、しかも「おいでおいで!」って叫んでいるよ〜。手は振り返せてもさすがに向こうまでは行けませんよ…。ひぇ〜かなり衝撃的。
川岸に小屋が1つあって、どういう時に行われるのか分からないが物々交換をする時に使われているらしい。小屋の中には北朝鮮のお酒やタバコ、お金があって、運転手さんは自分の家のように中に入り見せてくれた。梨と言い、小屋の中と言い、お金を払って入ったとはいえ、こんなに好き勝手して良いのだろうか…と少し思ったけど、次に行く虎山長城のチケット代を交渉してくれようとしたり、とにかく良い人だった。
公園の上から北朝鮮を見る
街の北部にある錦江山公園に登る。頂上から今度は新義州市を見渡すことができる。遊覧船から見たときには、高い建物は1つも見えなかったが、ここから見ると、堤防沿いの木の向こうに建物があるのが見え、その後ろにかなり田んぼが広がっていて、またその向こうに建物が建ち並んでいるのが見える。田んぼの向こうがどうやら街の中心部のようで、高層ビルも見える。
川岸と言い、公園と言い、両国とも警戒している様子が見えないのが本当に意外。そして双眼鏡がこんなにも活躍するとは。
遊覧船から北朝鮮を見る
遊覧船が出ているので乗ってみる。橋の下を通り、北朝鮮側の岸のすぐ側まで行ってUターンしてくるというルート。
ほんと船から飛び込めば、泳いで向こうまで余裕で行けそうなぐらいすぐ側まで行くので、向こう岸の様子が見える見える。岸には灰色の船が何隻かあるのが少し怖い様子だが、後は(泥水なのに…)川で泳いでる人、釣りをしている人、水浴びしている人が見えたり、市場みたいなところに人が集っているのが見えたりしてほのぼのした感じ。想像では川岸には一般人はいなく、兵士が50m毎に立って監視しているのでは…と想像していたが、厳重に警戒している様子は特になく、普通に生活している様子が見えた。
でも、この人たちは観光客からいつも見られてどういう気持ちだろう?きっと不愉快だろうなぁ。
橋の上から北朝鮮を見る
着いてびっくり。川幅は1kmぐらいで、川の向こうには本当に北朝鮮が見える!鴨緑江には2本の橋が架かっている。1本は鉄道と道路が通っている橋で、北朝鮮まで通じているがもちろん普通に入ることはできない。もう1本は昔旋回橋だったのが、朝鮮戦争中に爆撃によって壊され、今は橋の半分だけが残っていて、そこは観光客も自由に入れる。
まずは、その川の半分まで掛かっている鴨緑江断橋へ。橋の端からは肉眼でも北朝鮮側の堤防沿いに人が歩いているのが見える。双眼鏡で見ると、日傘を差しているとか男女も大体区別が付く。堤防沿いに木が植わっているのでその先はよく見えないが、川岸に5階建てぐらいの水色の建物、廃墟となってそうな工場、なぜかポツリと使っていなさそうな小さな観覧車が見える。